2012年11月23日金曜日

上御殿遺跡の現地説明会を開催しました


 高島市三尾里にある上御殿遺跡の現地説明会を開催しました。当日はあいにくの曇り空でしたが、明け方まで雨が降っていたことを思うとラッキーだったと思います。おかげさまで、70名の方々が参加して下さいました。参加いただいた方々には、お礼申し上げます。
 今回の説明会は、奈良時代から平安時代初頭にかけての調査成果を中心に行いました。はじめに、倉庫群の建物について、配置や構造などを話しました。足元が悪く、遺構の近くまで近寄ってもらえなかったのが残念でしたが、建物が重なって見つかっている様子や柱穴の大きさなどを見てもらうことができたと思います。
足元の悪い中、多くの方々がいらしてくださいました
そのあと、倉庫群の北西側にある川やそこで行われた祭祀について説明しました。川は古墳時代から平安時代にかけてのもので、平安時代には古墳時代に比べて川幅が細くなって蛇行して流れていたことや、その中で祭祀が行われたことなどを話しました。
祭祀の跡から出土した人形代(ひとかたしろ)や陽物形代(ようもつかたしろ)、斎串(いぐし)などの遺物は、現地のテント内に展示しました。参加者の方々は、顔のある人形代など様々な遺物を興味深く見学されていました。
なお、高島市歴史民俗資料館において、鴨遺跡や永田遺跡といった近隣に所在する遺跡の出土遺物を展示していただきました。上御殿遺跡と同時期の遺跡ということで、周辺地域の歴史を知る良い機会となりました。ご協力いただきました資料館の方々にはお礼申し上げます。
速報展を滋賀県立安土城考古博物館で開催中ですので、こちらもぜひご覧ください。また、調査は、現在も進行中です。新たな発見があれば、また報告したいと思います。
平安時代の川の中の祭祀跡を説明しています
 

2012年11月4日日曜日

連続講座オプショナルツアーに行ってきました

ほぼ毎月開催している連続講座ですが、今月はいつもの会場を飛び出して、米原市清滝(きよたき)にある清瀧寺徳源院(せいりゅうじとくげんいん)に行ってきました。事前に参加者を募ったところ、19名の方がご参加くださいました。当日は12時50分にJR東海道線柏原駅前に集合しましたが、昨日までの寒さを感じることもなく、かといって暖かすぎることもなく、絶好の行楽日和でした。全員集合したところで、いざ出発。道すがら、成菩提院や中世東山道や近世の中山道などについても解説しながら、ゆっくりと歩いていき、30分ほどで徳源院に到着しました。

奥の山の麓に徳源院があります
徳源院の客殿の中で、まだ紅葉には少し早い時期でしたが、きれいなお庭を観賞しながら(池泉回遊式庭園というそうです)、ご住職のお話をお聞きしました。京極家の歴史についてなど、話上手なご住職のお話に聞き入りつつ、お抹茶とご住職の奥様特製のお菓子もいただきました。お菓子は京極家の家紋四つ目をかたどった落雁。お抹茶とともに、美味しくいただきました。
ご住職のお話を、お庭と抹茶・お菓子とともに堪能しました

お話の後は、本堂と位牌堂にある寺宝を、ご住職の解説付きで見学させていただきました。参加者の皆さんも私も、普段はあまり目にすることのないものばかりですので、興味しんしんで見学しました。続いて、外に出て京極家墓所の見学です。鎌倉時代から江戸時代末までの歴代当主のお墓がずらっと並んでいて、壮観です。考古学をかじっている身としては、その型式学的な変遷も面白く感じました。
京極家墓所
徳源院を辞した後は、再び柏原駅に向かって歩いていきます。行きとは違った道を通ったので、少し遠回りになりましたが、中山道の宿場の街並みを歩きました。お茶屋御殿跡でいったん解散としました。もう十分楽しまれた方は駅へ向かい、余力のある人はもう少し宿場の中を歩いていただいたり、柏原宿歴史館を見学されたり。16時半くらいで解散となりました。天候にも恵まれ、なにより徳源院さんで温かいもてなしを受け、とてもいいオプショナルツアーとなりました。このような催しを、連続講座の中で毎年1・2回開催していく予定です。