2013年8月17日土曜日

銅鐸博物館(野洲市歴史民俗博物館)で鋳物体験を行いました

熱心に説明に聞き入る参加者の皆さん
ヤスリを使って磨いていきます
当協会の体験学習メニューの中に、「鋳物体験」があります。最近は出番が少なく、お蔵入り寸前の体験学習になっていましたが、野洲市歴史民俗博物館からの依頼を受けて、久しぶりの登場となった訳です。特に高島市上御殿遺跡の「謎の青銅短剣鋳型」に触発されて行ったわけではありません。同館で実施されている「古銭」の展覧会の関連企画として、本来は「和同開珎づくり」だったのですが、より人気の高い「鏡づくり」に変更して実施しました。
 さて、鋳物体験は、市販の特殊ゴム製の鏡鋳型に低温融解の合金を流し込むことから始まります。今回の参加者は、大人3名と小学生3名・幼稚園児1名という内訳でした。幼稚園児のお子様はさすがに危険なので、お父さんと一緒の作業になりましたが、そのほかは自分で流し込む作業から体験していただけました。そして、自分で金属を流し込んだ鋳型を開ける時のドキドキ。金属の持つ不思議な性格と、それを活かした古代からの技術、十分に体感していただけたものと思います。
 あとは、ひたすら磨く作業。はじめは耐水ペーパー、仕上げは仏具ミガキ「ピカール」。鍛冶体験もそうですが、金属系体験では「研ぎ」・「磨き」の作業が仕上がりを大きく左右します。そして、何故か、子供たちはこの作業に熱中すること著しいのです。
 ここに、体験学習のポイントが隠されています。あと少しの「頑張り」が目に見えて「鏡の輝き」に反映される。「隣のおっちゃん」よりも輝く鏡を・・・・。10分・15分程度の少しの「頑張り」が、ダイレクトに結果に現れる。こうした行為は、日常生活の中ではなかなか体感できないことではないでしょうか。そこに、子供たちが熱中してくれる秘密があるのです。そして、この体験を通じて「もう少し頑張る」ことの大切さを子供たちが体感してくれたとすれば、主催者・企画者としてこれ以上の喜びはありません。

2013年8月11日日曜日

イオンモール草津さんで勾玉作りの体験学習を行いました

会場の様子
まずは勾玉の説明
  草津市新浜町にあるイオンモール草津さんで、今年で5年目となる勾玉作り体験を行いました。昨年に引き続き、紺色のポロシャツ(背中に「滋賀県文化財保護協会」とプリントしています)を着用して臨みました。朝8時30分から3階のイオンさん前のスペースで会場設営を始め、少しトラブルはあったものの、開店の10時前には何とか設営を終了。開店と同時にイオンさんとの間を隔てるシャッターが開き、大勢の方が受付に来られました。受付開始から20分で1回目の定員30名が埋まり、2回目は昼前に、3回目も1時頃には定員がすべて埋まるという盛況ぶりでした。その中には、先月フォレオ大津一里山で開催した時には残念ながら満員で参加いただけなかった御夫婦とそのお孫さんの姿や、フォレオ大津一里山で参加して再び参加していただいた親子連れの姿もあり、職員一同あらためて勾玉作りの人気を思い知りました。
展示した古代のアクセサリー

 さて、実施時間は11:00/13:30/15:30の3回でしたが、それぞれ1時間ほどかけて勾玉作りを行いました。材料となる勾玉形に切り出したろう石の角張ったところや平らなところを、棒ヤスリや紙ヤスリを使って丸く仕上げていきます。今年は、この出張版勾玉作りを小学校低学年向け、ホームグラウンドの県埋蔵文化財センターで行った勾玉作りを低学年向けとして事前にご案内していましたので、例年より比較的低年齢の子供が多く参加されていました。削って磨くという根気のいる作業を、熱心にやる子もいれば、途中で飽きてお父さん・お母さんに任せてしまう子もいて、いろいろでした。ともあれ、一生懸命に作った勾玉の穴に革紐を通して首からぶら下げると、立派なアクセサリーに。アレンジでプラスチックビーズやウッドビーズを加えても、見栄えがしていい感じになります。
 参加者だけでなく、通りすがりの方たちにも、遺跡から出土した本物の首飾や耳飾などのアクセサリーやその制作道具を見ていただきました。こういった出張版のイベントは、いわばアウェイゲームですから、どれだけ関心の無い方たちにも文化財をアピールできるのか、われわれもいつにもまして気合が入ります。このような機会を、今後も増やしていきたいと考えています。


高島市上御殿遺跡の現地説明会を開催しました

まずは調査の概要を説明
現場事務所の中で遺物を展示しました
高島市にある上御殿遺跡の現地説明会を開催しました。当日は、熱中症になりそうなくらい暑い日でしたが、約700名もの方々にご参加いただきました。本当にありがとうございました。会場では、国内初となる「双環柄頭短剣」の鋳型や「守君舩人」の墨書土器、人形代・馬形代などの展示のほか、鋳型が出土した場所や掘立柱建物などの遺構を見学していただきました。特に、弥生時代中期から古墳時代前期の鋳型は、新聞報道などで大きな話題となったこともあって、多くの方々が関心をもって見学されていました。中国北方地域のオルドス式短剣と類似する特徴的な形を見て、いろいろと考えられて
いた方もおられたようです。
 上御殿遺跡の発掘調査は、次年度まで継続する予定です。今後も新たな発見に期待したいところです。

参加者の皆さんからは熱心な質問がたくさん

2013年8月9日金曜日

テレビ朝日「報道ステーション」さんが上御殿遺跡のオルドス式銅剣鋳型を取材に来られました

テレビ局スタッフと当協会職員が打ち合わせ中
下に黒い布を敷いて感じを変えています
 8月9日(金)の朝刊報道をにぎわせた、高島市上御殿遺跡出土のオルドス式銅剣の鋳型ですが、テレビ朝日「報道ステーション」のスタッフがその日の午後に取材に来られました。レポーターは武内絵美アナウンサー。いつもテレビで拝見する通り、おきれいな方でした。いつも整理作業をしている部屋でも撮影をされたのですが、片づけをする余裕がなく、ご覧の通り雑然とした中での撮影となりました。われわれ調査員や調査補助員さんが大勢見守る中での撮影は、少しプレッシャーをかけてしまったようですが、そこはさすがにプロ、当日夜の放映では、鋳型がきちんとさまになって写っていました。また、調査担当者の中村健二副主幹が、少し緊張しながらインタビューを受けた映像も流れました。われわれも大きな発見があって現地説明会などを開催すると、テレビ局の取材を受けることもありますが、在京キー局の看板報道番組の取材を受ける機会は少なく、めったにない場に居合わせることができました。
 8月11日(日)に行われた現地説明会の様子は、あらためてご報告したいと思います。

2013年8月4日日曜日

第4回火起こし選手権を開催しました!!

 8月4日に、暑い夏の熱いイベントとして定着しつつある火起こし選手権を、滋賀県埋蔵文化財センター前の特設会場で開催しました。この火起こし選手権、順調に回を重ねて4回目を迎えることができました。
 今年もまた、小学生高学年部門と親子部門(小学生低学年と保護者)の2部門で、頂点を目指して熱い戦いが繰り広げられました。昨年は小学生高学年部門ではまったく火が着かず、親子部門も記録が伸び悩むという悲劇の年でしたが、今年はどういう結果だったのでしょうか。
小学生高学年部門の様子
まずは13時より小学生高学年部門の開始です。16人のエントリーがあり、4班に分けて予選を行いました。結果は、1位が2分32秒、2位が6分37秒で、この2人が決勝戦進出。あとの14人は延長3分間でも着火できませんでしたが、そのうちの1人は、制限時間を5秒ほど経過した時点で着火できたので、繰り上げ当選で決勝進出となりました。決勝戦では繰り上げで決勝進出した子が、1分53秒と大会記録1分39秒に迫る好記録をたたき出し優勝!! 表彰式では、決勝戦の1位~3位と予選のブービー賞に、イオンモール草津さんと琵琶湖汽船株式会社さんからの賞品を贈呈しました。
親子部門の様子

 14時30分からは親子部門です。21組のエントリーがあり、6班に分けて予選を行いました。親子で息を合わせないとなかなか火は着かないものですが、さすが、息の合った皆さんがエントリーしていたとみえ、ほとんどの組が着火、しかも1分台の好記録が続出しました。さらにその上を行く1分以内に着火できた5組で決勝戦を行いました。このうち予選1位の40秒16の記録は、これまでの大会記録40秒72を上回る快記録で、2年ぶりに大会記録を更新しました。さて決勝戦ですが、皆さん予選で力尽きたのか、残念ながら予選を上回る記録は出ませんでした。表彰式では決勝戦の1位~3位と予選のブービー賞に、フォレオ大津一里山さんと琵琶湖汽船株式会社さんからの賞品を贈呈しました。

スポンサー企業さんからの賞品を贈呈しました
今年の火起こし選手権は天気にも恵まれ、多くの好記録が生まれました。次回の大会には、さらなる好記録の誕生に期待が持てそうな予感です。

 最後になりましたが、賞品のスポンサーになっていただきました、イオンモール草津さん・琵琶湖汽船株式会社さん・フォレオ大津一里山さん(50音順)、ありがとうございました。文末ではありますが感謝の意を表します。

2013年8月3日土曜日

文化財もの知り学2013第4回を開催しました

連続講座『文化財もの知り学2013』第4回は、8月3日に「宇佐山古墳群の発掘調査」と題して、当協会企画調査課主任中村智孝さんを講師として開催しました。宇佐山古墳群は、大津市神宮町にあります。戦国時代の武将・森可也(もりよしなり)の居城としてよく知られる宇佐山城の麓にあり、名前の通り多くの墳墓があることが知られていました。この調査では主に弥生時代後期~古墳時代初頭の方形周溝墓3基と古墳時代中期の古墳1基が見つかっています。古墳時代後期の古墳は、墳丘はすでに失われていましたが、遺体を収めた主体部はきれいに残っていました。この主体部には「箱式石棺」と呼ばれる、板状の石を組み合わせてつくられたお棺が据えられ、その中からは副葬された人骨が見つかっています。頭骨のみが残っていましたが、熟年男性のものであるようです。また、お棺の中や人骨にはベンガラや水銀朱といった赤色顔料が塗られていました。これらの調査成果を、カラー写真を多用して、わかりやすく解説されました。(次回は9月1日に大津市源内峠遺跡を題材として「探訪・丘陵に広がる古代のコンビナート」と題してのお話です)。